少し昔の小説等で、「肚」の文字を目にした事はありませんか。
普段使わない漢字なので何と読むのだろうと気になるでしょう。
見たことはあるけど読めない漢字かもしれません。
この記事では、「肚」の読み方を分かりやすく説明していきます。
月へん(にくづき)に士で「肚」の読み方
「肚」は、音読みで「ト」、訓読みで「はら、いぶくろ」と読みます。
「肚」の意味や解説
「肚」は、お腹の事です。
「腹」と「肚」は同じ意味ですが、細かく言うと少し意味が異なり、「腹」は身体的なおなかの事を指しますが、「肚」は「肚を括る」等、精神的な忍耐力を示す事があります。
口に出さずに図りごとを考えたりするのは「肚の内」と表現されます。
昭和に書かれた小説にこの漢字が使われているようです。
今だと「腹」をよく目にするでしょう。
また、「肚を決める」だと覚悟ができている意味になります。
「肚」の熟語での使い方や使われ方
・『肚芸』【はらげい】
「腹芸」とも書かれるこの意味は、歌舞伎で使われる用語です。
人物の気持ちの動きを台詞ではっきりと表現するのでなく、感情の変化を抑制して静かに見せる表現方法です。
分かりやすい心情変化を抑えているにも関わらず、観客には気持の移り変わりを悟させるので、難易度の高い表現になります。
心の在り方を「肚」と言うので、そこから「肚芸」になりました。
・『肚裡』【トリ】
腹の中で思いを巡らしている内容です。
「裡」は「裏」の旧字体で、意味は「裏」と同じなので、「肚裡」で心の中で考えているさまです。
「腹」は「ト」と読まないので、一瞬読みにくく思えるかもしれません。
・『魚肚』【ギョト】
魚の浮力調節をするウキブクロを乾燥させた食品の事で、スープにして食べるそうです。
中国では高級食品としてアワビやフカヒレと並べられています。
世界では乱獲により絶滅の危機もある種類があり、希少価値の高い食べ物です。
まとめ
「肚」は「腹」とほぼ同じ意味ですが、古い漢字で最近は見かけにくいです。
しかし小説等で目にした時に意味が分かると気持ち良いでしょう。
「腹」より「肚」の方が、心理的な心構えや肝っ玉の意味を持ち、精神面での準備を表している表現のようです。
ふと見つけた時に読めたら良いです。